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CIÉF2015年ウィニペグ大会参加報告(6/20)

CIÉF2015年ウィニペグ大会参加報告(6/20)

国際フランコフォニー学会 第29回世界大会 参加報告
Conseil International d’Études Francophones (CIÉF)
29e congrès mondial, 8-12 juin 2015, Winnipeg

大会ホームページ
http://cief.org/congres/2015/index.html

2015年6月8日(月)から12日(金)まで、カナダ・マニトバ州のウィニペグで国際フランコフォニー学会(CIÉF)第29回世界大会が開催された。エボラ出血熱の流行が懸念されたため開催地が当初予定されていたセネガルから変更になったのだが、ウィニペグはちょうど女子サッカー・ワールドカップの開催都市の1つにもなっていたため宿泊施設が不足し、例年より規模を縮小せざるをえなかった。とはいえ、« Multi-Inter-Trans : la francophonie dans tous ses états » という主要テーマのもと、各国から約150名の会員が参加し、40のセッションが組まれたほか、講演やターブル・ロンドも多数行われ、連日活発な討論が繰り広げられた。AJEQ会員の中からは、Gilles DUPUIS、長谷川秀樹、Raoul HOLLAND、小松祐子、小倉和子、立花英裕、鳥羽美鈴、山出裕子(以上アルファベット順)の8名が参加した。

会場はサン=ボニファス大学。現会長のお膝元で、今もフランス語系住民が多数暮らしている同名の地区の中心部に位置する。近くには『束の間の幸福』(Bonheur d’occasion)や『わが心の子らよ』(Ces enfants de ma vie)の作家としても知られるガブリエル・ロワ(Gabrielle ROY, 1909-1983)の生家が博物館として公開されている。また、大学の庭や公園にはこの地域のメティスのリーダーだったルイ・リエル(Louis RIEL, 1844-1885)の像がいくつも建てられている。彼は、メティスの土地や文化を無視して進出してきた新カナダ政府にたいして自分たちの権利を主張し、臨時政府を樹立したが、1885年、政府への反逆罪でとらえられ、処刑された地元の英雄だ。
ウィニペグも、ケベック州以外のカナダの都市の例にもれず、一歩町に出れば英語のほうが圧倒的に通じやすく、フランス語を母語とする若い世代の大半はバイリンガルにならざるをえないようだが、ではフランス語は消える運命にあるのかといえば、そうとも言い切れない。むしろ学習者自体は増えているらしい。間もなく創立200周年を迎えるというサン=ボニファス大学を中心として、フランス語での表現活動を振興するエネルギッシュな作家や芸術家たちが大勢いて、彼らが討論会やスペクタクルでCIÉFの大会を大いに盛り上げてくれた。
期間中、ケベックや韓国ケベック学会からの参加者などとも親交を深めることができ、意義深い1週間だった。以下、簡単にAJEQ会員の各発表を振り返りたい。

まず、6月8日(月)午前中に、小松祐子が« Enseigner la Francophonie : innovations, technologies, stratégies – I »と題するセッションで« Faire vivre la francophonie au Japon : les activités autour de la ‘Journée de découverte de la francophonie’ »という発表を行った。6年前から東京で毎年開催されている「フランコフォニーを発見しよう」へ参加するために学生グループが行ったプロジェクト学習について、その概要を紹介し、言語的、文化的、社会的観点から意義を検討した。
同じく8日(月)の午後には、鳥羽美鈴が « L’anglicisme dans la francophonie et ailleurs : encore et toujours »というセッションで« Pour lutter contre l'anglicisme au Japon »と題する発表を行った。外来語は日本語において可視的であるとともに、その使用は特定の分野や若者世代に限られないことを事例を通して確認した。また、戦時中のように外来語を忌避した時期もあるが、日本において近年は殊に英語帝国主義の傾向が見られること、すなわち英語起源の外来語の安易な使用が拡大していることに注意を喚起した。
一方、同日行われた文学関係のセッション« Transculture et mondialité dans les littératures francophones africaines et antillaises »では、立花英裕が« Le Langage et le transculturel chez Aimé Césaire et Édouard Glissant »と題する発表を行った。エメ・セゼール、エドゥアール・グリッサンの言語論・詩論を分析する中で、この対照的な2人の詩人の共通性を探り、フランス語とクレオール語が併存するマルティニク島のダイグロシア的文化状況における文学創作の問題を論じた。
また、« Écriture d’Asie au Québec : de l’interculturalisme à une littérature-monde »のセッションでは、小倉和子、山出裕子、Gilles Dupuisの3名が発表を行った。まず小倉は« Le symbolisme romanesque de Ying Chen : une lecture de La rive est loin »というタイトルのもと、イン・チェンの最新の小説La rive est loin(2013)を取り上げ、そこに繰り返し現れる象徴的負荷の高い語の分析を通して、「移住のエクリチュール」から出発したこの作家が、ミシェル・ルブリらのいう「世界文学」に近づきつつあることを示した。
次に山出は« L’influence de l’interculturalisme chez Kim Thúy »において、近年ケベックのさまざまな分野で論じられる「間文化主義」について、理論的特徴をまとめた上で、その文学に見られる影響を、アジア系の女性作家キム・チュイの最初の作品『小川』を例に分析した。
最後にDupuisは« Entre fiction et autofiction : les deux Kimchi de Ook Chung » において、ウーク・チョングが2001年に発表した『キムチ』の初版と、2013年『韓国三部作』の第3部に再録された同題の作品とを比較しつつ、教養小説とも自伝的小説ともとれる多様な性格を兼ね備えたこの作品の横断文化的詩学を明らかにした。
また、6月11日(木)には長谷川秀樹も« Le texte imagé ou l’image et le texte »のセッションで« ‘L’art corse’ existe-t-il dans la sphère francophone ? Les BD corses »と題する発表を行ったが、こちらについては、発表者の意向により概要の紹介は控えさせていただく。

ウィニペグはカナダ中部の穀倉地帯の中心に位置する。飛行機の窓から地上を眺めるとどこまでも平坦な小麦畑が広がっているのがまことに印象的だった。
初夏のさわやかな陽射しの中、咲き乱れるライラックのむせかえるような香りを吸い込みながら、サン=ボニファス地区とダウンタウンの間を流れるレッド川沿いを散策すると、200年以上昔、ルイ・リエルの祖母にあたるマリー=アンヌ・ガブリー(Marie-Anne GABOURY, 1780-1875)が白人女性としてはじめてケベックからこの地に到着した頃のことに思いを馳せずにはいられなかった。
来年の大会は、今年開催できなかったダカールで« Autour de l’arbre à palabres » という主要テーマのもとに行われることが決定している。(文責:小倉和子)

サン=ボニファス大学2
サン=ボニファス大学(写真提供:小松祐子)

Gabriel Roy bureau2
ガブリエル・ロワの家(写真提供:立花英裕)

Louis Riel
ルイ・リエル(写真提供:小倉和子)
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AJEQ会員の活動報告

AJEQ会員の活動報告(6/2)

真田桂子(阪南大学): 『季刊民族学』にケベックについての論考を寄稿しました。
国立民族学博物館が協力し千里文化財団が刊行する『季刊民族学』152号にケベックについての論考を寄稿しました。この雑誌は、文化人類学者で民博館長あった梅棹忠夫氏が創刊し、一般市民に、世界の諸民族の社会と文化に関する正確な情報を、深い専門性と学術研究の成果に基づきつつ、分かりやすく伝えることを目指した雑誌です。
この度、昨年のスコットランドやカタルーニャなど欧州で相次いだ独立をめざす住民投票の動きに注目し、「西洋社会の多様性」というタイトルで特集が組まれ、ナショナリズムのうねりがみられる世界の各地域についての状況を専門家が詳しく概説しています。ケベックについても編集部より依頼があり、「ケベック、北米に薫るフランス文化ー交錯する言語ナショナリズムとコスモポリタニズ」という論考を寄稿しました。記事のなかで掲載した写真については、友武栄理子会員のご協力を得ました。
カタルーニャ、バスク、スコットランド、ケベック、それぞれの地域のナショナリズムの特徴と歴史的背景について専門家が詳しく解説し、臨場感あふれる貴重な写真が満載された読みごたえのある企画となっています。是非ご一読下さい。
なおこの雑誌は一般の書店では取り扱っておらず、購読する会員への配布のみの雑誌ですが、ほとんどの主要な大学図書館や企業の研究所などで契約購読されています。詳しくは下記をご参照下さい。
http://www.senri-f.or.jp/kikanshi/top_page.php
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