AJEQ研究会(12/6)「小畑先生一周忌の会」、「山口いずみ会員の発表」(12/8)
日時:12月6日(土)16:30-18:00
場所:立教大学本館1号館1101
1.「小畑先生一周忌の会」
2.「山口いずみ会員の研究発表『中国系ケベコワのアイデンティティに関する一考察―ライフステージの移行に着目して』」
1.「小畑先生一周忌の会」去る、11月22日は前ケベック学会長の故小畑精和先生の一周忌であった。この日を記念し、AJEQでは「小畑精和先生追悼論集」と、インタビューシリーズ「日本のケベック研究」の電子書籍が出版されたことが、報告された。
まず、「小畑精和先生追悼論集」は、小畑先生のご遺族の寄付により出版可能となったことから、研究会の前に行われた「お昼の会」にご遺族を招待したことが報告された。ここには、AJEQを代表して、AJEQ会長、副会長、追悼論集編集委員会のメンバーが出席し、ご遺族にご寄付に対する感謝の意を表し、追悼論集30部を謹呈した。その際、ご遺族からビデオメッセージをいただき、その模様を「一周忌の会」で紹介した。
また、「日本のケベック研究」の電子書籍が出版されたことが報告され、小倉会長から、その活用例などが示された。
(一周忌の会の写真は下に掲載)
2.「山口いずみ会員の研究発表」山口会員の今回の研究発表は、昨年、小畑ケベック研究奨励賞を受賞した際の副賞を使って、ケベックにて行った在外調査の成果をまとめたものであった。
今回の発表では、この研究が、山口会員が博士論文執筆の際に行った研究の追跡調査であることが明らかにされた。まず初めに、山口会員の博士論文の概要が示された。そこで、山口会員の研究におけるリサーチクエスチョンが、1、「モントリオールにおける中国系はどのようにアイデンティティを認識し(シノワである、ケベコワである、カナディアンである)、経験しているか」、2、「それらの認識や経験は彼ら自身のアイデンティティをどのように構成しているか」、の2点であったことが明らかにされた。そして、そのおよそ10年後に行われた追跡調査での内容が示された。追跡調査の分析結果として、リサーチクエスチョン2に対して、多くはアイデンティティの認識に変化は現われていなかったが、最初の調査で、「シノワ・アイデンティティ」を示していた協力者のうち二人が、「反応型」から「自然化型」に移行しているとの分析結果が明らかにされた。さらに、「ケベック・アイデンティティ」を示していた協力者のうちの一人が「共同体型」から「個人型」へ移行しているとの分析が示された。1つ目のリサーチクエスチョンについては、協力者のうち3名が「普遍主義型」へ移行しているとの分析結果が明らかにされた。なお、1つめのクエスチョンについて、変化が見られないというのは、ライフステージの変化により、心身の発達や、社会的役割が変化したことがその理由として挙げられた。また、普遍主義への収斂の傾向が見られるのは、ケベック社会の「多文化主義/間文化主義」社会化のためではないか、との見解が示された。
発表後の質疑応答では、山口会員の10年以上に及ぶ根気強い研究調査に対する敬意が示されると共に、博士課程での研究調査の際に行われた対象者の絞込みの方法や、「ケベックのアジア系」移民という独創的なテーマに興味関心を持った理由などに関する質問があった(研究会の写真は以下に掲載)。
(文責:山出裕子)
小畑先生一周忌の会
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山口会員の研究発表会
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