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CIÉF2016年セネガル大会参加報告(6/12)とお勧め情報

CIÉF2016年セネガル大会参加報告(6/12)


国際フランコフォニー学会   第30回世界大会大会参加報告
Conseil International d’Études Francophones (CIÉF)
30e congrès mondial, 23-29 mai 2016, Saly-Portudal, Sénégal

大会ホームページ:https://secure.cief.org/wp/?page_id=93


 2016年5月23日(月)から29日(日)まで、セネガル・サリー=ポルテュダルで国際フランコフォニー学会(CIÉF)第30回世界大会が開催された。全体テーマとして« Autour de l'arbre à palabres »を掲げ、51のセッション、3つのターブル・ロンドが組まれ、参加者は200人近かったようだ。他に、作家たちによる朗読会も催された。ダカール市のシェック・アンタ・ジョプ大学が大会開催に協力していたが、そのお蔭もあったのだろうか、いつもよりも作家が多めに集まっていた。壇上に並んだアフリカ在住のフランス語表現作家たちの声に触れると、同じアフリカ出身でもフランス在住の作家とは異なる独特の味わいと話振りが伝わってくる。そこに、大陸としてのアフリカの文化的重みが感じられた。
 会場は、首都ダカールから70キロほど南に下ったサリー=ポルテュダル市にあるホテル、レ・フィラオ(Hôtel Les Filaos) 。大西洋に面したリゾート・ホテルだった。広い敷地内にバンガロー風の宿泊用家屋が並び、中央に広い芝生の空間とプールがしつらえてある。海辺には大きな椰子の木が植えられ、木陰にサマーベッドやパラソルが並んでいる。ほとんど波打ち際の分科会室もあって、そこに入ると、発表者の声に混じって、打ち寄せる波の静かに砕ける音が聞えてくる。太陽の降り注ぐ敷地内を歩けば、白い壁に、薄黄色の長い首をした大きなトカゲが這っていて、こちらが近づくと首を振ってすばしっこく動き出す。ふと、アラン・ロブ=グリエの『ジャルジー』を思い出した。あのヌーヴォー・ロマンの作品には、ブラインドと、その陰に隠れたトカゲの執拗な描写があった。あれは舞台がアフリカだったのだろうか?こんな所でロブ=グリエのトカゲに出会うとは。いずれにしても、アフリカでは何もかも輪郭が濃いんだ、という印象を受けた。ホテルの木造の食堂も、強い日差しに包まれた内部に色濃い陰を作り出していた。そこに座ると、涼しくて、海が見渡せる。食事時になると、大会参加者が思い思いに集まって、開放的で親密な空間を楽しんでいた。
 さて、肝心のAJEQ会員の発表だが、5月26日(木)午前中に、日本人4人によるセッション « Postures et champs littéraires francophones »があった。立花英裕が司会を務め、小倉和子が « Montréal d'après les romans de Dany Laferrière »、立花が« Quête d'un champ littéraire : Aimé Césaire et Alioune Diop »と題する発表を行った。このセッションでは、AJEQ会員ではないが、静岡文化芸術大学の石川清子氏がアシア・ジェバールについて、大東文化大学の中村隆之氏がエドゥアール・グリッサンと雑誌『アコマ』について研究発表をしている。それに続く時間帯には、Gilles Dupuisが セッション« Vues d'Afrique: présences africaines dans les littératures québécoises et franco-ontariennes »の司会を務め、« Blackout: l'Afrique fantôme dans les romans d'Aquin, père et fils »と題する 研究発表を行った。
 次に、参加したAJEQ会員3名の研究発表の概要を述べよう。
 小倉和子は « Montréal d'après les romans de Dany Laferrière »において、独裁政権下のハイチを逃れて、1976年、オリンピックが開催されるさなかのモンレアルに降り立ったラフェリエールが最初に見たもの、そして10年後、作家としてデビューする直前の80年代半ばに同じ都市で見たものを、『甘い漂流』と『ニグロと疲れないでセックスする方法』を通して跡づけることにより、間文化主義が徐々に浸透していくモンレアルの様子をラフェリエールの炯眼を通して確認すると同時に、この作家をアカデミー会員、さらには世界文学の作家にまで育てたこの都市の魅力を探った。
 立花英裕は、« Quête d'un champ littéraire : Aimé Césaire et Alioune Diop »において、雑誌Présence Africaineを拠点として、創刊者Alioune Diopと詩人Aimé Césaireがどのような経緯で協力体制を実現し、トランスナショナルな知的・文学的運動を興したかを論じた。第2次世界大戦中、一時的とはいえフランス共和主義体制が瓦解するが、この「空白」の中で、フランスに従属した知的・文学的枠組みから脱却・自律しようとする機運が世界各地で高まり(ケベックも含む)、それが数多くの雑誌の創刊を促した。Présence Africaineもその代表的一例だが、そうした世界的状況が、フランス語圏文学の後の展開を生む素地になったとする見解を述べた。
 Gilles Dupuisからはフランス語による報告が届いたので、以下に掲載する。
 Gilles Dupuis a présidé une session (26 mai) intitulée « Vues d'Afrique : présences africaines dans les littératures québécoises et franco-ontariennes », à laquelle ont également participé Christiane Ndiaye (Université de Montréal) et Peter Klaus ( Freie Universität Berlin ). La communication de Gilles Dupuis, intitulée « Blackout : l'Afrique fantôme dans les romans d'Aquin, père et fils », portait sur la représentation de l'Afrique fantôme dans les romans d'Hubert Aquin ( Prochain épisode et Trou de mémoire ) et d'une Afrique plus incarnée dans le roman de son fils aîné Philippe Aquin (La route de Bulawayo). Il s'agissait de voir en quoi le fils, tout en s'acquittant d'une dette littéraire contractée à l'endroit du père, réglait ses comptes avec lui à travers sa fiction inspirée par le continent africain.


 小倉と立花が参加したセッションは発表者が全て日本人で、しかもエクスカーション翌日の朝9時からだったので、聴衆の数が懸念されたが、開始時はまばらだったものの、すぐに席が埋まり始め、質問も活発だった。聴衆の中には一橋大学名誉教授恒川邦男氏の姿もみられた。CIÉFのYolaine Parisot会長は聴きに来てくださらなかったが、後で報告を受けたらしく、私たちの発表をとても褒めてくれ、毎年熱心な日本人の参加があることに謝意を表してくれた。司会の私から見ても、私自身の発表は別にして、小倉、石川、中村の発表はどれも大変内容が濃く、よくまとまっていて、すばらしかった。世界と互角に競い合える日本の研究水準を示していたと言えるだろう。
 25日(水)のエクスカーションは、ダカール市とゴレ島の観光だった。ホテルからダカールまでは遠いので、市内見学の時間が短かったのが心残りだった。セネガルでは政治家がウォロフ語で話すと80%の人が理解し、フランス語だと22%が理解するという説明を聞いた (学術的な統計と多少ずれがあるかもしれないが、セネガル一般の人々の心理的認識を表しているのかもしれない) 。そこで、ダカール市内の看板・広告塔を注意して見たが、そのほとんどがフランス語だった。そこに、セネガルの言語的・文化的複雑さが垣間見えた。アフリカには、ほとんどクレオール化したフランス語が話される地域もあるという。ダイグロシア的状況はカリブ海域にも共通するとはいえ、たとえばマルティニク島と比べると、やはりアフリカは全く別の広大な世界なのだ。
 奴隷貿易の拠点として名高いゴレ島への船旅は気持ちがよかった。島は、ダカールから船で20分ほどの沖に浮かんでいる。そこで和やかな昼食となった。小さな島には風が吹いていた。カリブ海の律動に富んだ貿易風とは違うが、絶え間なく静かに吹いている。この無言の風に帆をふくらませてかつての奴隷船はアメリカ大陸に向かったのだろうか。
 私たちが滞在した最終日の27日(金)午後、CIÉF総会が開催され、そこで4月に実施された理事会選挙の報告があった。選挙は地域別になされるが、「その他の国」の理事の1人として、立花英裕が選出されたことが報告された。任期は4年。

(文責:立花英裕)


T1Ogura.jpg T2Zentai.jpg

  小倉和子会員の発表                    分科会会場風景(中村隆之氏の発表)                  


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Gilles Dupuis faisant sa communication     パーティー会場の立花英裕会員

 

会員のお薦め情報(6/15)
立花 英裕
:日仏演劇協会公開講演会のご案内です。

 ◆講演会:2016618日(土)1700分~1830(入場無料・来聴歓迎)

      立花 英裕 (早稲田大学教授)   「エメ・セゼールの演劇言語」 

  会場:専修大学 神田校舎 1号館8階 8B会議室15階建の高い建物になります)

          (地下鉄神保町駅徒歩3分・九段下駅徒歩5分・JR水道橋駅徒歩10分)

  問合せ先:日仏演劇協会事務局 

 101-8425 東京都千代田区神田神保町3-8 専修大学 1009研究室(根岸徹郎)気付 

        office@sfjt.sakura.ne.jp (担当 堀切)

      (日仏演劇協会総会が16時から催されますので、講演会は、その後になります)


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