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アンヌ・エベール生誕100周年・国際研究会参加報告

アンヌ・エベール生誕100周年・国際研究会参加報告(佐々木菜緒) (7/1)

Colloque international « Anne Hébert, le centenaire »
7-9 juin 2016, Sherbrooke et Montréal, Québec
研究会ホームページ:http://colloqueannehebert.evenement.usherbrooke.ca/

 2016年は、現代ケベックを代表する作家アンヌ・エベール(Anne Hébert:1916-2000)生誕100周年に当たる。それを記念して、6月7日〜9日の3日間、ケベックのシェルブロックとモンレアルでアンヌ・エベール国際研究会が開催された。詩から小説、短編から戯曲までに至るエベール全作品を様々な観点からを総合的に考察し、今後の研究や教育分野におけるエベールの可能性を探るために、ケベックや英語系カナダのみならず、フランス、オランダ、ドイツ、スペイン、イタリア、アイルランド、インド、ブラジル、日本など世界各国から30名のエベール研究者が結集した。2016年はまたアンヌ・エベール研究センター設立20周年を迎える節目の年でもある。
 本研究会の流れは大きく分けて次のようであった。先ず1日目はオープニングとしてエベールの生涯と作家活動について話し合われ、2日目にエベールの全作品に関する研究発表(テーマ研究、社会学的考察、表象論や芸術論など)がなされた。そして3日目にエベール作品の受容や世界のエベール研究の現状について報告がなされたのち、クローズィングとして今後のエベール研究の可能性が話し合われた。
 私の発表は、3日目の « Traduction et réception » の枠組みで、 « Anne Hébert au Japon : Les chambres de bois et Kamouraska » と題し、国内におけるエベール作品の受容について行った。本発表では、日本語に唯一訳された小説であるにもかかわらず国内では未だほとんど研究されていない『カムラスカ』(1970)と、邦訳はないが国内のケベック文学研究で注目度の高い『木の部屋』(1958)を取りあげた。この対照的な2作品について、ケベックにおける場合と比較しながら、その要因を検討した。日本特有のエベール現象は他の研究者の関心を大いにひき、国内におけるケベック文学や翻訳状況についても活発に質問があがった。
 また、本研究会と合わせて開催されるエベールの展覧会 « La détermination d’un regard : archives littéraires d’Anne Hébert et œuvres d’art de Hector de Saint-Denys Garneau » の内示展は、本研究会参加のもう1つの醍醐味であった(写真参照)。同展覧会では作品原稿や、エベールに関する写真、絵などが展示されている(シェルブロック大学文化センターのアートギャラリーにて8月7日まで開催中)。研究会の3日間、食事の面でも大変歓待していただいた。特に内示展後に発表者全員はケベックの郷土料理コースの晩餐会に招いて下さった。こうした食をとおして他の研究者と出会い、自由に気軽に意見を交換できたことは素晴らしい時間であった。研究会主催者のNathalie Watteyne教授に感謝したい。
 さいごに、今回のケベック滞在は、6月9日に始まった音楽祭Les FrancoFolies de Montréalと重なったことは幸運であった。本研究会終了後はモンレアル市内Quartier de Spectacleにて、昨今若者に大人気のラップバンド Dead Obiesや現代ケベックポップとして幅広い年代層にファンの多いPierre Lapointeの生演奏を堪能することができた。学際的かつ文化的に凝縮した素晴らしい1週間の滞在だった。

研究会の様子
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Nathalie WatteyeneとJanet Paterson
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エベールの書斎(展覧会)、およびエベール研究書販売
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コメント
No title
佐々木先生。、
素晴らしいですね。おめでとうございます。
私の1990年ころに出版ました『モントリオール 憂愁と復活』の最初に彼女の一文を引用掲載させていただいたところ。
たしかle premier jardinでした。
瀬藤
2016/07/07(木) 14:42 | URL | 瀬藤澄彦 #-[ 編集]
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