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米国ケベック学会第20回大会参加報告

米国ケベック学会(American Council for Québec Studies)第20回大会参加報告(11/15)
大石 太郎(関西学院大学)

去る11月3日~6日に米国メイン州ポートランドのWestin Harborview Hotelで開催された、米国ケベック学会(American Council for Québec Studies, ACQS)第20回大会に参加しました。ACQSの大会は隔年で偶数年に開催され、奇数年に開催される米国カナダ学会(Association for Canadian Studies in the United States, ACSUS)と交互に開催されています。今大会の日程は以下のとおりでした。なお、私はACQSの一会員として出席しており、AJEQの事業として学会を代表して出席したわけではありません。

11月3日 昼食会、一般研究発表、Plenary
11月4日 一般研究発表、ケベック州政府主催レセプション、Plenary(映画上映とパネル・ディスカッション)
11月5日 一般研究発表、Plenary(シンポジウム)、懇親会(Banquet and Entertainment)
11月6日 総会
(Plenaryというのは辞書を引いてもピンと来る訳語がないのですが、イベント的要素のあるセッションを意味するようです)

まず、初日は受付を済ませてすぐに昼食会となり、ひとしきり食べ終わったころ、会長の挨拶と招待講演が行われました。会長はサザン・アラバマ大学のSam Fisher先生(政治学)で、招待講演はメイン州のフランコ・アメリカン・コミュニティの重鎮であるSeverin Beliveau氏によるものでした。ケベック州やニューブランズウィック州と隣接するメイン州にはかつてフランス系カナダから多くの移民が流入しており、一説には、約130万ほどの人口の約3割がフランス系の祖先をもつとされています。

一般研究発表は5会場に分かれて行われ(1会場の収容人数は20~30名)、1セッションは90分で、3つないし4つの発表で構成されています。すべての発表を終えてから、まとめてディスカッションの時間をとる場合が多かったようです。ラウンドテーブルを含めて45のセッションが実施され、プログラムに講演題目の明記された128本の発表のうち、ほぼ半数にあたる67本の発表がフランス語によるものでした。今回は会場がカナダから近く、ケベック州を中心にカナダからの参加が多かったことがフランス語による発表の多さにつながっているかもしれませんが、それぞれのセッションは言語別に組まれておらず、基本的に参加者は学会の「公用語」である英語とフランス語の両方を理解するという前提で動いているようです。私は(僭越ながら)Recent Trends in Québec Studies in Japanというタイトルで、日本におけるケベック研究の現状を紹介しました。もっとも、タイトルは羊頭狗肉気味で、明治以来の外国研究の伝統から話を始め、1970年代末の日本カナダ学会の創設にみられるカナダ研究の発展、2008年の本学会創設とその活動などを紹介し、課題として財政的問題、最近の日本における英語重視の流れ(英語以外の言語への関心の低さ)を指摘しました。当初は、私の発表順になって誰もいなくなったらどうしようなどと思っていましたが、予想外に熱心に聞いてくれて、好意的な反応も多くもらいました。なお、研究発表のテーマは文学、映画、政治、歴史など多岐にわたるのはもちろんのこと、アメリカ合衆国のフランス系住民やフランス語教育などに関する報告もあって、「ケベック研究」という看板から感じられるよりも少し広いテーマが取り上げられていました。

2日目の夜にはケベック州政府主催のレセプションがあり、在ボストン・ケベック州政府事務所代表が司会を務め(写真左)、Paul LePage州知事の挨拶や「ケベック賞」の授与などが行われました。なお、姓から想像されるように現知事はフランス系の末裔ですが、姓はルパージュではなく、ルペイジと発音します。さらに、Claude Godbout監督の映画Un rêve américainが上映され、監督自身も加わってパネル・ディスカッションが行われました。この映画は、オンタリオ州に住むフランス系のミュージシャンが自動車でメイン州からカリフォルニア州までフランス系とかかわりの深い町を訪ね、そこに住むフランス系の末裔の人々と交流するドキュメンタリーで、北アメリカのフランコフォニーに広く関心のある私には、たいへん興味深い映画でした。3日目の夜はBanquetがあり、フランス系カナダの伝統音楽が生演奏で披露され、一部の参加者はそれに合わせてダンスを楽しみました(写真右)。

昼食会やBanquetはすべて参加費に含まれており、一部のcash barをのぞいて追加費用がかからなかったことには感心しました。また、在ボストン・ケベック州政府事務所や国際ケベック学会(AIEQ)などが受付周辺に展示ブースをもうけていたり、ケベックシティの観光促進PRなども行われたりしていました。一方で、財政的な問題から、プロジェクターの設置された会場は2会場のみであり、私は15年ぶりくらいにレジュメで発表しました(レジュメも用意せずにただ話すだけの発表も多いです)。その点にやや違和感を覚えたものの、初めての参加でもすぐに溶け込める雰囲気で、また参加したいと思わせるものでした。次回の大会は、2018年にルイジアナ州ニューオーリンズで開催されるそうで、ニューイングランドとはまた違う、北アメリカのフランコフォニーを体感できる大会になるのではないかと思います。

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