AJEQ研究会(4/26)の荒木会員発表の写真と報告:(4/27、改定4/28)
AJEQ研究会が、4月26日(土)の17:00~18:45に、立教大学の6号館6305教室で行われました。
今回の発表者は、荒木隆人会員(京都大学)で、以下のテーマで報告がありました。
テーマ:
「カナダ連邦政治とケベック政治闘争ーカナダ1982年憲法を巡る政治過程ー」
(発表の要旨は以下の写真集の後に掲載)
新緑の季節の立教大学正門の風景と研究会で荒木隆人会員を紹介する矢頭理事

荒木会員の発表と研究会参加者(計18名)の様子


質疑応答の様子:仲村愛会員(写真左)と加藤普理事(写真右)による質問
発表の要旨:
「マルチナショナル連邦制」を、2つ以上のネイションが一つの政治体の下で共存しうる連邦制と定義した上で、マイノリティ・ネイションとして独自の性格を持つケベック州が連邦政府と「憲法闘争」を繰り広げた1960~80年代の政治過程に焦点を当てて、その今日的意義を見出だそうとする発表であった。
より具体的には、カナダにおけるケベック州政府が主張した憲法構想である「特別の地位」や「主権連合」という立場と、個人の権利を基にしてこれらの構想を認めないトルドーの「均等連邦制」の立場が対立を続けた歴史を詳細に分析し、ケベック州の立場が言語などの「集団的権利」を優先し、議会による政治的な保証を求めたのに対して、トルドーはあくまで個人的な権利を重視し、司法の決定が最終的な判断になるという点で、根本的な違いがあるように見えることを指摘した。
しかしながら、結論としては、「憲法闘争」におけるケベック側の代表者であったレヴェックが主張する立場を詳しく調べると、それは必ずしも言語のような集団的な権利を個人的権利よりも優先させる考え方ではなく、むしろ個人の権利を言語という手段を通じて実現しようとする面も強く持っており、そこに注目すれば、レヴェックが主張した立場は、個人的な権利と集団的な権利を相互補完的に発展させるというアプローチと解釈できる。そこでは、個人的権利が絶え間なく変化し、その権利を定める上ですべての個人が参加できる政治制度が要請されている。以上のように、ケベック州が主張する言語権を再検討することで、マルチナショナル連邦制に正当性を付与することができるのではないか、というのが発表の趣旨であった。
(宮尾の要旨案を発表者荒木会員が加筆修正 4/28)
また遊びに来ます!!